高率酸化池と安定化池における浮遊生物の出現状況について, 調査研究した。
高率酸化池の植物プランクトン相は貧弱で, 珪藻綱が水温の高い初夏から秋季に優占的に出現していた。動物プランクトンは, 輪虫綱が植物プランクトンの多い時に, 繊毛虫綱がバクテリアの多い時に多い傾向を示した。
埋立余水の富栄養化機構を明らかにするために, 1983年から1987年までの5年間, 浚渫土砂処分地の安定化池において調査研究した。安定化池では富栄養化され, 植物プランクトンは10
3~10
5/mlの間で変化し, 常時赤潮状態を呈していた。しかし, 特定種が常時赤潮状態を呈しているのでなく, 春季と秋季に多く, 冬季と夏季に少ない傾向にあった。この赤潮状態のプランクトンと水質の鉛直分布について, 8回の調査をしたところ, 植物プランクトンが表層から底層までほぼ均一に分布する場合と, 表層に片寄って分布する場合があった。
成層構造を示す時は, 上層で動物プランクトンによる摂餌や微生物学的分解が活発で, 下層に到達するまでに分解されていることが推察された。それらの分解, 生成された栄養塩を利用することによって, この水域の極端な赤潮現象が長期間にわたって存在できるものと考えられる。
動物プランクトンの個体数は, 10
3~10
5inds./lの間で変化し, 春季から夏季に多かった。優占種は
Brachionus plicatilis (輪虫綱) であり,
Apocyclops japonensis, copepodid of
Apocyclops, nauplius of Copepoda (
Apocyclopsのnauplius期と考えられる) が多い。
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