本調査の目的は,子どもが形からどのような連想を行うかを,描画力の制限がない条件下で明らかにすることである。4・5歳児クラスの男女計76名を対象に,線画で図形(三角・丸・四角)を提示し,口頭で図形からの連想を尋ねる個別面接調査を行った。得られた連想語について,(1)連想得点,(2)連想内容(生物・食べ物・自然・人工物・その他の5カテゴリ),(3)最初の連想までの反応時間及び内容の三つの観点で,年齢・性別・課題による差を検討した。その結果,年齢・性別にかかわらず,丸が,三角・四角と比べ,短時間で多様な連想をしやすいことが示された。図形の認識の発達・保育環境から考察し,ものの形の特徴を知ることが,創造的な造形活動につながる契機に成り得ることを指摘した。