美術教育学:美術科教育学会誌
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秋田県自由画教育の研究(9) : 「全県小学校児童作品展覧会」と山本鼎たちの来県
長瀬 達也
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2014 年 35 巻 p. 353-367

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抄録
本論では昭和3(1928)年4月29日から秋田県で開催され,山本鼎や後藤福次郎が審査員及び講演会講師として来県した「全県小学校児童作品展覧会」について,当時の地方紙や教育関係資料によって詳細に調査,分析し,以下のことなどを確認した。1.秋田県の図画教育では当時も,山本の「自由画教育論」が受容されて,「自由画方法」が追究されていた。しかし,クロッキーを含むデッサンの教育を重視する山本や,「郷土化」を意図する後藤から見れば,まだ十分ではなかった。2.山本や後藤の来県は,秋田県の図画教育や自由画教育の次段階への移行にとって,十分な刺激となった。3.昭和3年4月の秋田県での講演から判断すると,当時の山本鼎は自由画教育を次段階に進展させようとする強い意欲を持っていた。
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