2016 年 37 巻 p. 269-285
京都府画学校関係者は明治期の学校教育,特に毛筆画教育に関与していた。本研究は,画学校関係者による女学校への関与の傾向とその意義を明らかにすることを目的としている。先行研究や行政文書等の史料をもとにした京都府内女学校図画教員の概観からは,画学校関係者による毛筆画教育への顕著な関与,および出講状況に画塾における師弟関係が影響した様子を確認した。また,画学校関係者作成の図画教科書の採用状況に関して師弟関係からの影響はみられなかったが,京都市内のみでの採用に限られていることが明らかとなった。以上から画学校関係者による女学校への関与には,明治中・後期の京都市内「洛中」地域を中心として展開した,伝統文化に根差す自律的・協働的な教育動向としての意義があったと結論した。