美術教育学:美術科教育学会誌
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京都府画学校関係者による毛筆画教育への関与( 2 )
『玉泉習画帖』に掲載されたモチーフの意味
竹内 晋平
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2017 年 38 巻 p. 327-341

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抄録

本研究の目的は,日本画家・望月玉泉によって明治期の京都で刊行された毛筆画教科書『玉泉習画帖』に掲載されたモチーフには,画技に関する教育意図のほかにどのような意味が含まれているのかについて明らかにすることにある。このため,江戸中期・後期の円山四条派,および明治期の京都府画学校関係者による先行作例と『玉泉習画帖』との比較を行った。その結果,両者の間にはモチーフ選択,画面における構図,写生の重視,運筆の傾向等,図様に多くの共通性があることが認められた。このような流派をこえた『玉泉習画帖』への影響は,図様だけでなくモチーフに込められた寓意にもおよんでおり,それは宗教的な世界観,そして俳諧を中心とした文学性に根差した美意識であると解釈された。

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