2017 年 38 巻 p. 427-439
本稿は明治初期に開設された島根県師範学校附属幼稚園(現・島根大学教育学部附属幼稚園)の図画教育について検討したものである。保姆による明治期の保育記録を読み解き,図画教育に関連する手本や絵画の分析を通して考察した。その結果,箸環排などの直線や曲線を用いた手技を関連させながら図画を行うことで輪郭線を理解させるような方法論をとっていたこと,談話や唱歌といった他の領域と画方を関連させようとしていたこと,浮世絵などの色鮮やかな図版を多数所有し,中には保姆による手描きの動物図・人物図が含まれていたことが明らかとなった。