美術教育研究における通時的な視点から,映像メディアの役割について先行研究を交えてまとめた。その上で本論では,「対象を読み解き整理するための映像」という映像メディアの教育観点によって実践されていくために,その一端を担う白黒写真を活用した授業実践を考案し,その活動から美術教育上の利点について論考を深めた。白黒写真のカラー化実践は色彩を再現することを通して過去の事象へのリアリティを向上させ,興味・関心を深め,対象を深く読み解くことにつながる。特に白黒写真のカラー化とインタビュー調査の2軸を実践に取り入れることは,「対象を読み解き整理するための映像」の実践において社会コンテクストの読み解きに十分に効果的である。