ドメインやドメインの定義は重要である反面,研究の遅れや停滞が生じている。本稿は,ドメイン研究の再活性化に資することを目的とする。戦略論用語として日本に導入されたドメインの概念が,独自の進化を遂げていった歴史を振り返ることで,まずドメインやドメインの定義といった表現が国外では一般的ではなく,そこでは別の名称が与えられて研究が進展している可能性があることに言及する。次に,独自進化の2つの特徴をもとに分析枠組を構築し,「事業の見方を探究する」「全社テーマと事業ポートフォリオの間の関係を探究する」という2つの研究課題を抽出する。これらの研究課題に関する若干の考察のために,論理学や修辞学の知見が用いられる。