企業を「技術的変換体」とした場合,現代企業のイノベーション課題とは,一般的には「生産関数の変化」そのものの問題として受け止められる機会が多い。しかしながら,それはイノベーションの「機能」にほかならず,その「目的」とは,むしろ変化した技術を使用することで効率的な生産を行い,結果として「利潤最大化」を実現することにあるといえる。そしてそのために必要な条件こそが,「最大生産量の実現」である。しかし,そうした一連の企業活動の阻害要因となるのが,企業の「内部管理構造の問題」である。変化させた技術から得られるべき利潤の最大化に向けて,企業組織そのものの中の非効率性の存在にこそ,現代企業のイノベーション課題の本質が隠されている。問題の所在を明確にすることで,課題解決に向けた糸口を探る作業こそが,今まさに求められている。