消費者行動研究
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論文
悪い口コミに負けないブランドをどう作るか?
消費者の感情および商品の使用経験の役割について
杉谷 陽子
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2016 年 22 巻 1_2 号 p. 1_2_1-1_2_26

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抄録

悪い口コミをされても評価が下がりにくい「強い」ブランドとは、どのような態度構造をもつのだろうか。本研究は、ブランドに対する感情的評価を「憧れ(pride)」と「親しみ(closeness)」の2次元に分類し、「親しみ」感情は悪い口コミをされても低下しにくいことを、実験室実験によって示した。さらに、「親しみ」感情が低下しにくい理由について、「親しみ」は直感的評価であるのに対して、「憧れ」はある程度の熟慮を経たうえで生じる感情であるという仮説を検証した。実験では、商品の使用経験がない条件(広告によってブランド情報を提示するのみの条件)と、使用経験あり条件(実際に商品を使用させて熟慮を促す条件)とで、ブランド評価の強さを比較した。その結果、「親しみ」感情は、商品の使用経験の有無にかかわらず、悪い口コミによって評価が下がりにくかった。一方、「憧れ」感情は、商品の使用経験あり条件において、使用経験なし条件よりも、悪い口コミによって評価が低下しにくかった。考察では、本研究の限界と今後の課題、実務的示唆について論じた。

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© 2016 日本消費者行動研究学会
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