接着歯学
Online ISSN : 2185-9566
Print ISSN : 0913-1655
ISSN-L : 0913-1655
日本人前歯におけるエナメルの厚さに関する研究
佐藤 亨梅原 一浩中澤 章腰原 好
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 15 巻 3 号 p. 262-272

詳細
抄録

接着歯学の進歩により歯質の削去量を最小限にした歯冠補綴法が日常臨床において行われている。この際なるべくエナメルへの接着を用いた方が得策であり、エナメルに限局した支台歯形形成を行うよう努力すべきと考える。
そこで上下顎前歯の支台歯形成に遺漏がないよう、従来の唇側エナメルの厚さの検討結果に加え、前歯舌面のエナメルの厚さについても詳細に検討をおこなった結果、以下の結論を得た。
1. 上下顎前歯のエナメルの厚さは、唇面において歯頚部0.2mm~0.5mm、中央部0.5mm~1. 2mm、切端部0.9mm~1.6mm、舌面において歯頚部0.1mm~0.4mm、中央部0.4mm~1.0mm、切端部0.4mm~1.0mmであった。
2. 上下顎前歯の唇面、舌面のエナメルの厚さを比較すると、唇面より舌面のほうが薄い結果であった。
3. 歯冠の中央部から切端側にかけては、唇面では中央、隅角、隣接面のエナメルの厚さはほとんど変わらない傾向であった。しかし舌面では中央部から切端側にかけては、舌面中央より隅角のエナメルのほうが厚く、また隅角より隣接面のエナメルのほうが厚くなる傾向が認められた。
4. 舌面のエナメルの厚さにおいて上顎犬歯は他の前歯と異なり舌面中央部が厚くなる傾向が認められた。

著者関連情報
© 日本接着歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top