本研究では、高齢者にやさしいマッサージ機のデザイン開発を行った。開発には著者らが提案する高齢者配慮商品開発のための要素マトリックス手法を活用する。この要素マトリックスは、身体的カテゴリーと高齢者配慮要素の2軸を配置している。これを用いると問題分析から設計に至るまでに一貫性を持って設計できる。身体面の高齢者配慮要素には「軽負担性」「単純・明瞭性」「連続性」「融通性」「安全性」の5要素、心理面では「親和」「達成性(ステータス性)」の2要素がある。この要素マトリックスを用いて現状商品におけるマッサージ機の高齢者の使用に関する問題点を抽出した。これらの問題点をユーザ要求と考え、開発コンセプトを作成した。こうして要素マトリックス手法により導き出した開発コンセプトを絞り込み、具体化し、評価を行った。その結果、高齢者に配慮した新しいモノづくりにつながり、要素マトリックス手法の有用性を確認できた。