本件は、岐阜県瑞浪市の小田陶器株式会社と財団法人岐阜県産業文化振興事業団オリベ想創塾との共同製品開発プロジェクトである。今日の全国的な陶磁器業界の不況下で美濃焼産地も厳しい状況におかれ、1980年代の最盛期に1,300社以上あった陶磁器製造メーカーは半減している。その主な要因として明治以降、効率のために地域ごとに分業体制をとった産地全体が一つの大生産工場と化し、各社が匿名性に埋没したこと、製品開発と販売において地元を統括する問屋や商社に完全に依存してきたことにある。オリベ想創塾のプロデュースのもとに、小田陶器が外部デザイナー(筆者)とスタンダードなデザインプロセスを経た製品開発を経験することで、自社製品企画力と流通網開拓力の向上を目指した。開発製品のうち、筆者がデザイン担当した2シリーズを紹介するとともに、小田陶器1社の取り組みと成果が産地全体へ波及することを期待している。