2015 年 20 巻 1 号 p. 1_12-1_15
筆者は博士課程で「リンク機構を用いた家具の研究~一挙に展開、変形し空間に変化をあたえるもの~」をテーマに研究を行った。リンク機構を用いた家具の一例は折り畳み式のパイプ椅子などである。これらに用いられているのは単体のリンク機構だがリンク機構を複数組み合わせることで複雑な折り畳みを簡単な動作で行うことができる。この性質を用いて必要な機能の家具を必要な時に移動して展開することで狭小空間でも快適かつ豊かでめりはりのある生活ができるのではないかという提案を行い結論とした。博士論文ではプロダクトとして最も現実的な方向性で最終的な結論に至った。しかし研究を行う過程で気になる方向性として「演出的な効果」というものもあった。これはリンク機構特有の不思議に感じる動作を前面に出してそれを演出的な効果として使用するものである。本作はその方向性で制作した新作である。