2018 年 23 巻 1 号 p. 1_16-1_21
サイエンスアゴラのキービジュアルデザインを、2011~2016年の間、筑波大学芸術専門学群の演習授業として行ってきた。サイエンスアゴラは日本最大級の公的な科学コミュニケーションイベントであるが、キービジュアルは様々な媒体に使用され重要な位置を占めてきた。
採択されたキービジュアルを考察すると「多様性をふまえた独創性」が重要で、不採択だったキービジュアルは「子どもっぽい、マンガ・アニメっぽい」等、訴求対象が限定されたものが多かった。このように本論文では、現代における公的な科学コミュニケーションイベントに相応しい、キービジュアルの方向性を示すことができた。また受講生やサイエンスアゴラ事務局からのコメントを収集することができた。こうした継続的な授業におけるデザインプロセスの記録は、今後のビジュアルデザイン教育の進展に活かせると考える。