障害科学研究
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二分脊椎症児の認知機能の特性と算数学習における困難さの検討
古山 貴仁川間 健之介
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2018 年 42 巻 1 号 p. 163-172

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抄録

二分脊椎症は、先天的に脊椎骨が形成不全となって起こる神経管閉鎖障害の1つであり、脳と脊髄の機能不全により神経学的認知特性を伴う。教科学習においても、これらの認知特性が要因となり、学習上の困難を呈すると思われるが、二分脊椎症児の学習の困難さに焦点を当てた研究は少ない。本研究では、二分脊椎症児12名を対象に、認知特性が算数学習に及ぼす影響について検討を行った。二分脊椎症児の知能検査(WISC-Ⅳ) の指標得点の分析を行った結果、全検査IQは標準の範囲内であるが、知覚推理・処理速度の指標得点の低さが指摘された。また、教研式標準学力検査( CRT)を用いた算数の学習習得状況の把握を行い、WISC-Ⅳの指標得点との相関関係を検討した結果、知覚推理と図形関連の問題の間で正の相関がみられた。これらの結果から、二分脊椎症児の算数学習において、図形や計算等の処理に困難さが見られることが示唆される。

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