障害科学研究
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展望
非行少年の表情認知研究の現状と課題
西木 貴美子塩川 宏郷
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2018 年 42 巻 1 号 p. 237-245

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抄録

本稿は、表情認知に関する研究の動向、特に非行少年や成人犯罪者における表情認知に関する研究の現状と課題について整理・検討を行った。その結果、1) Darwin (1872) 以降、膨大な数の表情認知に関する研究が行われ、各研究が互いに関連しあいながら発展を続けている、2) 表情認知は乳児のころから行われているが、障害の有無や成育環境が表情認知の発達に影響を与えている、3) 表情認知研究全体に対し、非行少年や成人犯罪者を対象とした研究は数少ない、4) 非行少年や成人犯罪者は表情認知に何らかの困難を抱えている、5) 非行少年に対する表情認知トレーニングは再犯防止に効果をもたらす可能性がある、ことが報告されていた。非行少年の表情認知に関する研究の今後の課題として、研究対象者の属性の統制、検査課題数の検討、トレーニングによる表情認知スキルの改善とその過程の解明の検討の必要性を指摘した。

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