糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: BS-1-2
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シンポジウム:特殊な管理を要する糖尿病治療
成長期における糖尿病治療
*大関 武彦
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抄録

小児の特質は常に成長(身長・体重などの身体的指標)・発達(精神・運動、性成熟などの機能的変化)を示す点であり、特にこれらの著しい時期として乳児期、思春期があげられる。今回はこのうち以下の4項について概説する。(1)新生児期・乳児期の糖尿病:新生児の糖尿病は永続型の他に、自然経過でインスリン分泌不全が回復する新生児一過性糖尿病(TNDM)があり(症例1)、膵の成熟に関与する6q24などに病因が想定されるが、その後に再発する例も知られている。乳児期の糖尿病の治療には適切な身体発育の他に、低血糖や精神心理的な発達などに注意を払う必要があり、インスリン投与回数、食事(哺乳)などを患児に適合した形で調整する必要がある。(2)小児の2型糖尿病と肥満:近年の我が国では小児期においても2型糖尿病の増加が指摘され、10万人当たり1型(1.5人)に比べ2型(4_-_7人)であり、肥満の頻度(8_-_12%)も未だ増加傾向といえる。肥満に伴う場合は体重減少をはかるが、成長に必要な栄養素(特に蛋白質、カルシウムなど)は確保しつつ減量をはからなければならない。有病率の増加もあり薬物療法の適応もより拡大される傾向にあり、メトフォルミンの使用例も増加している。(3)思春期の糖尿病治療:思春期においては1型、2型ともコントロールが不良になる傾向がある。この原因の一つとして内分泌環境の変化の可能性がある。性ホルモンの上昇により成長ホルモン分泌量が増加しインスリン抵抗性が生ずる。しかしながら肝においてはIGF-I産生能が低下し、成長の減速や成長ホルモン分泌の負のフィードバックの低下などがもたらされる。IGF-I投与によりインスリン感受性の改善と成長ホルモン値の低下を認めた報告もあるものの、通常はインスリン投与量の増量(平均値:小児期0.7;思春期直前1.0;思春期1.2U/kg/日)で対応するが、個人差も大きい。精神的な不安定さに起因すると考えられるコンプライアンスの低下にも注意が必要であり、コントロール不良の大きな原因となり、むしろ中心的な悪化要因となっている例も少なくない。(4)摂食異常症と精神心理的トラブル:神経性食欲不振症の発症のきっかけとして肥満との関連がしばしば指摘される。しかしながらこれは最終的な発症の引き金であることが多く、精神的素因・環境が本質的病因と考えられる。思春期の1型糖尿病女子においては摂食行動の異常を認める割合が高いと考えられ、この一部は摂食異常症の発症につながる可能性もあるが、糖尿病のコントロールの悪化につながることがより重大な注意点となろう。

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© 2005 日本糖尿病学会
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