アフリカ研究
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論文
東アフリカ観光地における「みやげ物絵画」の創出と展開
タンザニア・ザンジバルの「真っ赤なキス・マサイ」を事例に
井上 真悠子
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2010 年 2010 巻 76 号 p. 17-30

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抄録

東アフリカ・タンザニアの島嶼部ザンジバルには,1980年代から始まった観光化にともない,多くの若者がタンザニア本土部からみやげ物業に従事するために渡ってきている。現在ザンジバルにおいてみやげ物用の絵を描いている画家の多くも,本土部から移動してきた者たちである。これまで,非西洋地域におけるみやげ物芸術に関する研究では,主な消費者である西洋諸国とのかかわりや,観光文化としての文化の再創造といった視点からの研究蓄積がある。しかし,観光化する現代アフリカ社会に生きる人々がどのように技術を共有しながら主体的に観光文化としてのみやげ物を生み出しているのか,その内発的なプロセスは等閑視されがちであった。本稿では,みやげ物絵画をつくる人たちの実践に焦点を当て,特にザンジバルにおける真っ赤な「キス・マサイ」という新しいみやげ物絵画の技法・スタイルの創出と模倣のプロセスに注目する。そして,グローバル化・観光化のなかに生きる人々がどのようにしてつながり,技術を伝達し,新たなみやげ物絵画のスタイルを創り出しているのか,その内発的な創出・拡散の動態を解明することを目的とする。

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© 2010 日本アフリカ学会
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