アフリカ研究
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論文
アフリカ農村と先進国市場をつなぐ仲介者
ガーナ北東部の輸出向け手工芸品ボルガ・バスケットの事例
牛久 晴香
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2012 年 2012 巻 81 号 p. 1-15

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抄録

ボルガ・バスケットは,ガーナ北東部ボルガタンガ周辺で生産される天然素材の手作りバスケットで,日本や欧米でファッションバッグやインテリア用品として販売される。本稿では,生産者と企業の意向を仲介する地元の流通関係者(仲介者)に着目し,ボルガ・バスケット産業を動かす村レベルの生産・売買の仕組みを明らかにした。調査村では,村の手工芸協会,米国のフェアトレード企業,個人経営の仲買商人がそれぞれ異なる方法でバスケットを買い取っており,1)全体としては,質のよい製品や新しいデザインに高価格が提示される仕組みになっていることで,品質の向上とデザインの多様化が促されていた。一方で,2)地元の仲買商人が低品質な製品を含むあらゆるバスケットを頻繁に買い取ることで産業の裾野の拡大に貢献していた。そしてさらに重要な点は,3)すべての仲介者が生産者の生活リズムを尊重し,彼らとの親密な関係を保ちつつバスケットの製作を促しており,この産業が農村社会になじむような体制を整えていたことである。仲介者たちが,先進国企業の厳格な要求とアフリカ農村の生活事情の間に生じがちな軋轢を緩和するインターフェイスの役割を果たし,ボルガ・バスケットの国際的な流通を支えていたのである。

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© 2012 日本アフリカ学会
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