アフリカ研究
Online ISSN : 1884-5533
Print ISSN : 0065-4140
ISSN-L : 0065-4140
研究ノート
内戦,住民投票と「神話」の動態
南スーダン,ヌエル社会における予言の語りの分析
橋本 栄莉
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 2012 巻 81 号 p. 31-44

詳細
抄録

南スーダンに住まうヌエル社会の人々は,度重なる内戦を経験し,平和構築や住民投票,新国家の誕生という歴史的出来事に立ち会ってきた。多くのヌエルの人々は,これらの出来事をかつてなされた予言が成就したものとして捉えている。本稿の目的は,首都ジュバに住まうヌエルの人々が,南スーダンの分離独立という歴史的出来事を,19世紀末になされた予言という「神話」的枠組みを通してどのように捉えていたのかを報告することにある。人々は住民投票のプロセスの中で偶発的に出現する数々の要素を,かつての予言の中に見出すことによって分離独立の正しさを語っていた。本稿では多様な予言の解釈に注目し,語り手各々が抱える現実的な問題が予言を介して国家レベルの問題に接続されてゆく過程を描く。これを通じ,多様な背景を持つ人々が集うアフリカ都市社会において,戦後復興の一環である「民主化」への取り組みと,多様な解釈を通じて刷新される「神話」とがいかに人々の重層的なリアリティを形成してゆくのかを提示する。

著者関連情報
© 2012 日本アフリカ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top