アフリカ研究
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研究ノート
東アフリカ牧畜社会におけるヘルスケア:
ローカリティにもとづく医療支援に向けて
波佐間 逸博
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2013 年 2013 巻 83 号 p. 17-27

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抄録

東アフリカ牧畜社会では,公的な医療施設からの地理的な距離や頻繁に移動する生活様式が,ヘルスケアの供給の欠落と結びついている。そしてヘルスケアの欠落は,疾病に感染し症状を悪化させるリスクとなっている。ヘルスケアを利用することが容易ではない環境に置かれている牧民たちは病状の改善を求め,その都度可能な選択肢から特定の治療方法を模索する。この懸命な努力によって,ひとつの治療エピソードは異なる医療体系を組み合わせる多元的な医療行動として構成されることになる。人びとの健康への希求は,個人レベルでの能動的な治療方法の模索を動機づけるだけではない。牧野の伝統医と医療関係者の協働により,エティック・アプローチに基づく医療サービスと「伝統」から構成される多元的なシステムの構築を通じて,持続的なヘルスケアの供給を確保する新しい試みが創出されている。ヘルスケアの改善策をめぐる従来の議論に対して,本稿が報告するこのような創造的な試みは,牧畜地域においてヘルスケアを持続的に供給できるアプローチとしての別の可能性を提示するものである。特定社会が健康における不利益を強いられることのない状況に連なるローカリティへの接近により,人類学的調査にもとづく支援モデルを提示する作業の出発点として,本稿を位置づけたい。

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© 2013 日本アフリカ学会
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