アフリカ研究
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ケニアにおける結核の実態とその問題点
特に文献による展望を中心として
村上 文也
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1972 年 1972 巻 12 号 p. 9-14

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抄録

以上著者は東アフリカにおける結核の浸淫実態についての概観をのべてきたが, 東アフリカでは結核は未だに感染症の中で最も重要な位置を占めている. Table 9はP. W. Kent が東アフリカにおける結核の現況を表にまとめたものであるが, それをみると年75,000人の新しい患者が発見されその中1/3が治療をうけていることがわかる. 近年症型こそ慢性型が増加する傾向にあるとはいうものの, 新しく耐性の問題が提起されてきた. その上アフリカでは住民の貧困, 因習的な食習慣などによる栄養失調 (特に蛋白欠乏) が結核患者特に小児患者の発症や進展を modify していることも特徴で, 診療に当ってもこれらの点に留意すべきであろう. 一方一般医師の結核疾患に対する関心は極めてうすく, また医師の結核に対する知識も浅薄で, 大部分の医師はレ線フィルムの正確な読影すら満足に出来ない状況である. 政府においてもB. C. G. の接種, 結核患者が発生した家族の検診, 結核患者に対する栄養指導など, 結核対策に最重点をおいて推進してはいるが, その成果があがるまでにはまだ相当の年数を要しそうである. 東アフリカより結核を追放するためには, 上記の対策に加えて結核を専攻する医師の養成, 住民に対する結核知識の啓蒙などが目下の急務であろう.

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