アフリカ研究
Online ISSN : 1884-5533
Print ISSN : 0065-4140
ISSN-L : 0065-4140
ケニア北部, サンブルヒルズ地域から発見された足跡化石について
中野 良彦辻川 寛仲谷 英夫中務 真人石田 英實
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 2001 巻 59 号 p. 101-114

詳細
抄録

北ケニア, サンブルヒルズ地域から発見された哺乳類を中心とする足跡化石について, 現生種との比較からそれらを構成する分類群について分析し, サンブルヒルズ全体から発見されている化石動物相の結果とあわせて, サンブルヒルズの古環境についての考察を行った。足跡化石には83個の哺乳類の足印と14個の鳥類の足印が認められ, 哺乳類の足印の内訳は食肉目のハイエナ科が43個, 偶蹄目が15個, 奇蹄目のサイ科が2個, 不明が23個であった。これらの構成比はサンブルヒルズ全体から発見された骨格及び歯牙化石の構成比とは異なっており, 最も多く化石が発見されている奇蹄目ウマ科の Hipparion や長鼻目の足跡化石は発見されていない。サンブルヒルズの化石動物相は, サバンナや疎開林といった開けた環境を示唆しているが, 足跡化石の発見された地点 (SH-23) に関しては, 特に河川湖沼といった水際の地域であった可能性を強く示した。足跡化石付近の地層の堆積過程については, 後背湿地氾濫原堆積物によって形成されているという報告があり, 今回の結果と適合した結果となっている。

著者関連情報
© 日本アフリカ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top