アフリカ研究
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エチオピアにおける地方分権化と民族政治
石原 美奈子
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2001 年 2001 巻 59 号 p. 85-100

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抄録

エチオピアは, 1991年以降エチオピア人民革命民主戦線 (EPRDF) 政権の下, 民族自決に重きをおいた形で地方分権化を進めてきた。そして, 93年にエチオピア最北部のエリトリアが分離独立を達成した後, 95年の新憲法でEPRDF政権は連邦民主共和制を導入し, 構成州に大幅な自治権を付与した。本論文は, 98年から99年にかけて筆者が実施した州政府機関関係者とのインタビュー調査にもとづいてエチオピアにおける地方分権化の方向性と進捗状況について報告し, その現状と問題点について指摘するものである。現在行われている地方分権化は「民族」を主体とし, 基本単位とするものである。70を越える民族をかかえるエチオピアにおいて民族問題は, とくに60年代以降国内情勢の不安定化をもたらす最大要因となってきた。論文では20世紀以降のエチオピアにおける民族問題と民族自決権に関わる議論, 及び各政権下での地方自治のあり方について整理した後に, 現政権の民族問題への対応と地方分権化の現状について報告する。

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