アフリカ研究
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セクターワイドアプローチにおけるオーナーシップ形成
ウガンダの教育セクターを事例として
前田 美子
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2002 年 2002 巻 61 号 p. 61-71

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抄録

セクターワイドアプローチ (SWAp) は, 途上国政府のオーナーシップの形成を, その目標の一つにしている。しかし, オーナーシップの概念自体に明確な定義がなく, その目標の達成度は測られていない。本稿に於いては, オーナーシップの概念を整理し, ウガンダの教育セクターを事例にして, セクターワイドアプローチによるオーナーシップ形成について検証する。さらに, オーナーシップ形成に役立つ要因について考察した。
ドナーが求める政府のオーナーシップの概念を挙げると, オーナーシップの強弱は, 次の指標で測ることができる; (1) プログラム導入のイニシアティブ, (2) 政策立案者間のコンセンサスの存在, (3) 政治的リーダーによるプログラムの支持, (4) ドナーと協議する能力, (5) 国内の機関や地域社会との幅広い協議。
この指標に従って, ウガンダ政府のオーナーシップを検証すると, オーナーシップはSWApの実施に従い, 確実に強化されていることが明らかになった。そして, オーナーシップ形成に貢献する要因として考えられたのは, 政治的安定, ドナー協調のありかた, ドナーと当該国政府のパートナーシップの性格, プログラム実施にかかわるキーパーソンの継続的な努力, などである。

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