アフリカ研究
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都市零細商人の経済活動における連帯と生活信条
タンザニア, 地方拠点都市ムワンザ市における古着の信用取引を事例に
小川 さやか
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2004 年 2004 巻 64 号 p. 65-85

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抄録

従来の都市研究において, 互酬的な規範を伴う経済関係は, 小農社会の「伝統」を端緒とし, 親族, 同郷者あるいはエスニックグループなどといった特定の閉鎖的な集団において機能するものと分析されてきた。しかしながら, 本論では, 地方都市ムワンザ市の古着流通で行われている信用取引を事例に, 互酬的な規範を伴う経済関係は, 必ずしも農村共同体で見られる「モラル」から発するものではなく, 都市での生活信条や経済活動を通じた連帯を基盤として, 利益と感情の同時充足を目指す商人たちの自立的で創造的な試みとして生成しうることを指摘する。
ムワンザ市の古着流通では, 資本をもつ中間卸売商と資本を持たない小売商の間で, 担保なしに商品が前渡しされ, その商品の返品や仕入れ価格の再設定が可能で, さらに生活補助も兼ね備えた特異な信用取引が行われている。この信用取引は, 商人双方に多大な経済的利益をもたらすものであるが, 経済的な利害関係だけでなく, 互酬的な規範を伴った水平的な社会関係を基盤として成立している。本論では, マリ・カウリ取引と呼ばれるこの信用取引が, どのような論理で行われ, 維持されていくのかを中間卸売商と小売商の間の協力関係と対立関係の両面から検討する。

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