アフリカ研究
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ガボン南部バボンゴ・ピグミーと農耕民マサンゴの儀礼の共有と民族間関係
松浦 直毅
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2007 年 2007 巻 70 号 p. 1-13

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抄録

中部アフリカ熱帯林に暮らす「ピグミー」と同じ地域に暮らす農耕民は, 相互依存的な共生関係を築いているが, 多くの先行研究によって, 両者の関係は不平等なものでもあることが報告されてきた。近年では, ピグミーの定住化, 農耕化が進んでおり, ピグミーと農耕民の経済的な格差は小さくなってきているが, ピグミーの社会的地位は依然として低いままである。一方, ガボン共和国の南部に暮らすバボンゴ・ピグミーは, 同じ地域に暮らすバンツー系農耕民マサンゴとの関係が, 他のピグミーと比べて対等に近い。定住化, 農耕化によってマサンゴとの経済的な格差が小さくなっているだけでなく, マサンゴとの社会的な格差が小さいという点でバボンゴは, ピグミーの中でも特徴的な集団である。
本稿では, 重要な社会的行事としてバボンゴとマサンゴの間で共有されている男性の成人儀礼ムイリに注目し, 両者の社会的地位の対等性が儀礼にも表れていることを明らかにする。儀礼における対等性を示すものとして, (1) バボンゴとマサンゴの儀礼の参加者数が均等で偏りがないこと, (2) 儀礼における重要な役割をバボンゴとマサンゴが対等に担っていること, (3) バボンゴとマサンゴの双方が儀礼に関する規範を遵守しており, 両者の間で規範が共有されていることを指摘する。

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