アフリカ研究
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北東アフリカ紛争多発地域の平和構築に向けて
外部介入による牧畜民間の平和会合
佐川 徹
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2007 年 2007 巻 71 号 p. 41-50

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抄録

エチオピア, ケニア, スーダンの三国国境付近は, 長年にわたって牧畜民間の紛争が発生してきた。近年になってエチオピア, ケニア両国政府や非政府組織などが, 紛争への介入を本格的に実施するようになってきている。本論では2006年に政府と非政府組織によって開催されたふたつの平和会合に焦点を当てて, 外部アクターによる介入がこの地域の平和構築に向けてもつ可能性と問題点を探る。本論で論じたことは以下の3点である。(1) 政府などによる平和会合の形式的な特徴の分析をおこない, 介入者は国家の包摂イデオロギーに基づいて介入をおこなうと同時に, 在来の平和会合の諸形式を改変しながら流用することで, 地域の人びとが容易に適応できる議論の場を作り出していることを明らかにした。(2) 会合でなされた紛争当事者間の議論の事例から, この場が既存の対立関係を悪化させる危険性とそれを発展的に解決する可能性を有した場であることを指摘した。(3) 会合の合間や終了後にみられた異なる民族に属する成員間の相互行為の事例から, 会合が民族境界を越えた友好的な相互往来を活性化する契機となっていることを示した。

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