2025 年 63 巻 p. 16-28
日本の大学におけるアフリカ教育をめぐっては、カリキュラム・制度の不十分さ、および、教える人びとのあいだのネットワーク不足が指摘されてきた。これに対して本稿は、大学の外部に位置するNPOを活用することが、これらの課題に対処し、アフリカ研究を教えるための、アカデミアの外にも開いたネットワーク形成・維持につながることを明らかにした。具体的には、市民のアフリカ理解促進を目指してきたNPO法人アフリック・アフリカの活動と、大学教育の現場が接合した教育実践例を収集分析した。その結果、多くの大学で、アフリック・アフリカのウェブサイト上に蓄積されたエッセイや料理レシピなどを教材とするものと、講師派遣や写真展などを組み合わせたイベント型教育が実践されていた。また、これらは、大学生にとって身近でイメージしやすい題材を扱ったもので、アフリカへの親しみをもたせることに有効であった。本稿は、実践例の詳細を報告するとともに、NPOの活動実践を大学教育に還元することによりアフリカ教育の充実が図られる可能性について論じる。