地球科学
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宝塚-伊丹地域における兵庫県南部地震の被害と地質学的背景
1995年兵庫県南部地震地質調査グループ
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1997 年 51 巻 4 号 p. 279-291

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抄録
1995年兵庫県南部地震は震源から40km離れた宝塚-伊丹地域にも大きな被害をもたらした.全体として,山麓部と伊丹台地の西部の集落に被害が多く発生した.しかし,被害の多い集落に隣接して,しばしば被害の少ない集落もみられた. これは地震動の大きさが地震波の伝播過程,または地下構造だけに支配されたのでなく,地域ごとの表層地質の差などにも規制されているためと考えられる. 沖積層の堆積域では深度5m未満の泥質層の層厚比が多く,N値平均値が小さい地域で被害が多くなる傾向があった.それらの地域は扇状地の斜面から扇端部,河川の後背湿地,構造的な低地帯などである. 沖積平野,扇状地,台地のいずれでも,地下水面の深度の浅い地域に被害が多くなる傾向があった.地下水面深度がおよそ2mより浅い地域では被害が多くなる傾向が見られた.
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© 1997 地学団体研究会
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