地球科学
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下北半島の中部更新統田名部層の層序と堆積システム
石田 磨妃鎌田 耕太郎
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2002 年 56 巻 4 号 p. 231-248

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抄録

本州東北端の下北半島田名部低地帯北縁の海岸に露出する中部更新統田名部層について岩相層序を再検討し,堆積相解析を行った.その結果18の堆積相が識別され,その中からバリアー島,潮汐砂堆,ファンデルタの各堆積システムを認定した.田名部層は岩相変化に富む下位の汐崎部層と,岩相変化に乏しい上位の石持納屋部層に区分され,汐崎部層は下位から外浜相,エスチュアリー相,ファンデルタ相,開析谷埋積相からなり,石持納屋部層はバリアー島相と潮汐砂堆相からなる.今回の調査によって,新たに最上位の部層として外浜堆積物からなる稲崎部層を区分した.本調査地でみられる田名部層の最下部に位置する外浜堆積相は,下位の砂子又層に不整合を介して重なっているが,田名部層とやや不調和な構造を示すことから別の地質系統の可能性がある.開析谷埋積相中にみられる火山灰層が酸素同位体比ステージ(MIS)8に相当することから,その上位のバリアー島と潮汐砂堆の両堆積システムは海進期(MIS-7)の堆積物であり,下位のファンデルタ堆積システムはMIS-9の海進期に形成されたと結論づけられる.このようなことから,石持納屋部層と汐崎部層の境界がMIS-8.0に相当する.また稲崎部層はMIS-5.5の海進堆積物に対比される可能性がある.田名部層の堆積相の時空分布は,MIS-11から7の氷河性海水準変動の影響を受けて堆積したことを示している.

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© 2002 地学団体研究会
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