抄録
紀伊山地中央部の秩父帯には石灰岩と緑色岩が顕著な山葵谷コンプレックスが分布する.山葵谷コンプレックスは石灰岩・緑色岩・チャート・砂岩の岩塊が基質をなす剪断された泥質岩に含まれるメランジュからなる.石灰岩のうち,灰白色石灰岩は緑色岩を伴う大きな岩塊で,Carnian後期からNorianを示すコノドント化石を産出する.緑色岩中の灰色石灰岩礫と暗灰色石灰岩礫のうち,前者からは中期ペルム紀後期の紡錘虫化石,後者からはヨーロッパの年代と比較すればCarnianからRhaetianにかけての六射サンゴ化石を産出する.しかし,これらのサンゴ化石を含む石灰岩は産状からすれば,Norianよりも若くない時期のものであると考えられる.