地球科学
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関東平野中央部における中-上部更新統の層序および構造運動
平社 定夫
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2008 年 62 巻 1 号 p. 43-55

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抄録
関東平野中央部の中-上部更新統は堆積シーケンスの特色に基づいて,下位よりB1-2層,B1-1層,A2層,および,A1層に区分される.これらの4層は海洋酸素同位体ステージ(MIS) 12以降に形成されたもので,房総半島に分布する中-上部更新統下総層群に対比される.本地域の中-上部更新統は層厚120m〜200mに達し,とりわけ利根川中流低地および中川低地においては厚く分布する.関東平野中央部は中期更新世以降顕著な沈降域であった.最大海成氾濫面の変形や2つの同一時間面間の層厚分布の検討に基づいて,次のような構造運動の変遷が明らかになった.すなわち,(1) B1-2層形成と同時に,関東平野中央部において顕著な沈降運動が始まった.沈降運動の中心部は調査地北西部で,この沈降運動はB1-2層およびB1-1層の形成時に進行した.(2) A2層の形成期には沈降運動の中心部が調査地北東部に移動した.(3) A1層の形成期には調査地北東部を中心とした沈降運動が進み,この沈降運動は現在も継続中である.
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© 2008 地学団体研究会
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