地球科学
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東北本州弧における後期新生代の火成活動史(<特集>島弧の深部構造-地質・地震・地震波トモグラフィによる解析(II))
吉田 武義
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2009 年 63 巻 5 号 p. 269-288

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抄録

東北本州弧では、陸弧(66〜21Ma)に、背弧海盆(21〜13.5Ma)が発達し、島弧(13.5〜0Ma)が形成されている.近年の東北本州弧の地質学的、岩石学的研究により、新生代東北本州弧の詳しい地質構造発達史、ならびに火成活動史が明らかとなってきたが、本論では、それらの多様な研究成果について概観する.東北本州弧と周囲に分布するプレートとの間の相互作用やこれらに関連した火成活動は、広域応力場の変遷や堆積盆の隆起・沈降史を含む構造発達史と密接に関連している.例えば、マグマの組成が示す変化は、その分離深度を通して、マントルやその上に重なる地殻の温度構造や起源物質の配置と関係している.火山岩のマグマ供給系の構造や活動様式は、プレート運動に支配された地殻内応力場の配置と大きさとに関連している.そして、マグマの噴出量は、マントルや地殻の熱構造とともに応力場の状態に大きく左右される.これらの関係を通して、火成活動史と構造発達史は互いに密接に関連しあうことになる.

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© 2009 地学団体研究会
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