地球科学
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網走湖底質とその縞状構造について
許 成基船木 淳悟岡村 眞松岡 裕美坂本 竜彦鹿嶋 薫山辺 希世
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2012 年 66 巻 1 号 p. 17-33

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抄録
網走湖底質中に見出された縞状構造について,鏡下観察・X線分析・化学分析を行ってその成因について考察した.この縞状構造は,国内で見出されている縞状構造の多くがvarveとされているものと異なって,濃淡二枚の縞が10ヶ月〜1年のサイクルで形成されたことが明らかとなった.縞(=バンド)には厚薄があるものの単層と考えられ,その単層中には3〜14枚のラミナが形成される.単層は珪藻・優白色鉱物・雲母族鉱物・粘土鉱物・鉄質鉱物で構成されるものの,バンド毎にその量比が異なっていて優占する鉱物を明確にはできないが,珪酸・カルシウム・鉄・マンガン濃度や粘土鉱物分析によれば,複数枚のバンドによる一種のドメインを形成していることが明らかとなった.その結果,このバンド一枚一枚を環境変動の年々変化の解析に用いることは現時点では困難であるが,少なくとも5〜10年程度の分解能は有していると思われ,今後,網走地方を含めた北海道の環境変動の解析に利用されることが期待される.
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© 2012 地学団体研究会
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