地球科学
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松本盆地南東部,高ボッチ山西麓に発達する"崖の湯断層群"(<特集>内陸盆地の構造と形成プロセス)
高畑 萌子
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2015 年 69 巻 1 号 p. 31-45

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抄録

糸魚川-静岡構造線に沿う内陸盆地の一つである松本盆地から諏訪盆地にかけては,牛伏寺断層を代表としてこの構造線に関係する活断層が多数知られている.本報告では,松本盆地東方の高ボッチ山西麓部に牛伏寺断層とは方向を異にして発達する多数の断層を「崖の湯活断層群」と呼んで,その地質学的な特徴について記載するとともにその意義について論じた.崖の湯活断層群は,山地を構成する新第三系内村層や深成岩体中に,ほぼ北北東-南南西ないし北東-南西方向をとって東傾斜で連続する20本を超える多数の断層からなる.その多くは右横ずれ成分を伴って東側地塊が上昇する逆断層のセンスを示す.断層帯の幅は約2kmに達し,新第三系や深成岩が大規模に破砕され粘土化している.また,標高800〜900mほどの山麓部に分布する第四紀後期更新世の礫層である片丘礫層や赤木山礫層を切断してそれらに変位を与えている.標高1,200〜1,300mの高所にも片丘礫層が孤立して分布する.北東-南西方向の明瞭なリニアメント地形としても認められることなどから,崖の湯断層は本地域において牛伏寺断層とは別方向をとって発達する活断層群である.その垂直変位量は約400mであり,礫層の年代から平均変位速度は0.67〜1.38m/1,000年となる.本断層群は,牛伏寺断層群とは切りつ切られつの関係にあることから,両者は互いに共役関係にあるとみられる.崖の湯断層群のひとつは,南西部のみどり湖断層に連続するとみられることから,本断層群の一部には,総延長22kmに達する活断層も存在する.これらのことから,本活断層の存在は松本盆地形成や糸魚川-静岡構造線の第四紀テクトニクスを考える上で極めて重要である.

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