地球科学
Online ISSN : 2189-7212
Print ISSN : 0366-6611
原著論文
2014 年長野県北部の地震による長野市・飯綱町・信濃町・小川村における被害調査
長野市,飯綱町,信濃町,小川村における2014 年長野県北西部地震の 被害調査グループ
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2017 年 71 巻 3 号 p. 115-133

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抄録

2014 年11 月22 日,長野県北部で マグニチュード6.7 の地震が発生し,長野県長野市,小谷村,小川村で震度6 弱を観測した.この地震による死者はなかったものの,家屋の全壊81 棟,半壊162 棟,一部損壊1,818 棟にのぼり,被害は震央付近の白馬村や小谷村のみならず長野市,飯綱町,信濃町,小川村など広い範囲に及んだ.
本研究グループでは,主に長野市,飯綱町,信濃町,小川村において地震発生直後から現地調査を実施するとともに,長野市,飯綱町,小川村より提供を受けた家屋等の被害資料を利用して広範囲の被害状況を把握した.長野市,飯綱町,信濃町,小川村における地震被害を分布図にまとめた結果,今回の地震では震央の東側約30km に及ぶ広い範囲で地震動による顕著な被害が生じたことが明らかになった.そして,長野盆地西縁部の箱清水から浅川地区より東側では急激に被害が少なくなることも判明した.屋根の被害が特に集中した箱清水地区では被害状況から南北方向の揺れが卓越した可能性が高いことも明らかになった.また,既存の地質図や地すべり地形分布図なども活用し,今回の地震による被害と地形・地質の関連についても検討したので報告する.

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© 2017 地学団体研究会
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