2019 年 73 巻 1 号 p. 5-14
関東山地,秩父帯北帯の住居附ユニットにみられる砕屑性炭酸塩岩は,ペルム紀チャートに伴って産する.砕屑性炭酸塩岩は砕屑性石灰岩と砕屑性ドロストーンからなり,ともに火山岩岩片のほかは粗粒陸源砕屑粒子を含まない.砕屑性石灰岩は下位から石灰岩角礫岩,石灰岩砂岩,石灰泥岩と重なり,上方へ細粒化を示し,石灰岩砂岩にはラミナがみられ,角礫岩は下位のチャートと明瞭な浸食面で接する.これらの特徴は,砕屑性石灰岩が堆積物重力流により淘汰・運搬されて堆積したものと考えられる.一方,ドロストーンは細粒で淘汰のよいドロマイトからなり,ドロマイトが底層流により選別・運搬されて再堆積したものと考えられる.