地球科学
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原著論文
群馬県西部の妙義山域における後期中新世火山層序と陥没構造
妙義団体研究グループ
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2020 年 74 巻 1 号 p. 21-38

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抄録

妙義山域は,群馬県の西部に位置している.この山域は,高度差が数100 m の屏風状の断崖・絶壁が集合した特異な山容を呈する.山域の地層は後期中新世の乾陸成の妙義層から,その周囲は中期中新世の海成層からなる.

妙義層は下位から四ッ家部層,一本杉部層,中之岳部層,丁須の頭部層の4 部層に区分される.下位の2 部層は下部妙義層と上位の2 部層は上部妙義層と呼ばれる.上部妙義層は,直方輝石-単斜輝石安山岩溶岩・火山砕屑岩互層からなり,それらの全層厚は1,800 m 以上である.ほぼ同時期に活動した安山岩~デイサイト質の多数の岩株状貫入岩体や岩脈類,および小規模の火山-深成複合岩体が分布する.

中之岳部層は,多くの地域で成層構造が急傾斜~直立し,数100 m ~1 km 以下の多数の小ブロックに分断されている.また,これらの小ブロック群は,周囲を断層で囲まれ,直線で南北7 km,東西9 km の菱形範囲内にジグソー的に寄せ集まっている.

このような地質構造の成因は,多角形の直線状断層で囲まれた深さ1,000 m 以上の陥没カルデラの形成に求められる.この火山性カルデラを妙義カルデラと呼称する.その後の削剥によって,妙義山域は深部構造が露出し,現在の高峻な地形が造られた.

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