2021 年 75 巻 1 号 p. 73-81
日本列島の最近の上下変動は,1890年代以降の一等水準測量で明らかにされてきた.一方,近年では GNSS(Global Navigation Satellite System)による測量結果が利用されるようになった.
一等水準点の累積変動結果は,地形に調和的で,山地が相対的に隆起し,盆地や平野が沈降している.改測ごとの変 動には,隆起・沈降の単元で,傾動・反転運動がみられる測地学的地塊を認識した.浅間山山麓では,火山活動期にその 周辺域が隆起したが,マグマ活動の影響との関連性が示唆される.
GNSS 観測の最近10年間の上下変動によれば,本州弧に沿った北東-南西方向と,北北西-南南東~南北方向の2つの隆起域が交差していることが明らかになった.