地球科学
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原著論文
北海道渡島半島における河川分類とその災害
日下 哉日下 稜
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2021 年 75 巻 3 号 p. 203-216

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抄録

渡島半島には全長10km未満の急峻な河川.全長10km. 20kmで比較的急峻な河川,全長20km以上の比較的流域面積の大きな河川が認められ,それぞれ Aタイプ, Bタイプ, Cタイプ河川と区別される.長万部町.八雲町の太平洋側には湿原を流下する中小河川が認められ, Dタイプ河川と考えられる. Aタイプ河川は“上流”型災害を, Bタイプ河川は“上流”型災害に加えて“中流”型災害を, Cタイプ河川では「上流域」「中流域」「下流域」に対応する“上流”型・“中流”型・“下流”型災害の危険性をはらんでいる. Dタイプ河川は“湿原流”型災害に特徴的な滞水型水害を頻発する.よって北海道の河川を Aタイプ(“上流”型)・Bタイプ(“上・中流”型)・Cタイプ(“上・中・下流”型)および Dタイプ(“湿原流”型)に 4分類する. Dタイプ(“湿原流”型)は,積雪寒冷地・北海道を特徴づける河川である. A・B・C・Dタイプになる河川分類は,地域の自然景観や流域の特徴をよく反映しているため,地域住民が河川の特徴や多様性を認識するのに有効であり,そこで発生する水害 (災害 )とよく対応し,災害防止や減災に役立つものと期待される.

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