抄録
本稿は,コロナ禍後に普及したリモートワークが都市圏通勤鉄道沿線の住宅家賃に与える影響を,理論・実証両面から分析する。
リモートワークの普及は,①出勤率の低下と,②通勤混雑の緩和という二つの経路を通じて,都心から離れた地域の家賃を相対的に押し上げた。
しかし,通勤の非金銭的コストの影響を分析するために従来用いられてきた山鹿・八田(2000)の家賃モデルは,出勤率変数を含んでいない。本稿ではこの変数を導入して,リモートワークによる家賃変化の総合効果を定式化する。
実証分析においては,コロナ禍前後の家賃データを用いて,混雑率のみを変数とする従来モデルから導かれる理論家賃と比較することで,出勤率の低下が家賃変動に与える追加的な効果を検証する。