2008 年 64 巻 4 号 p. 215-222
丘陵状の山地森林小流域における沢底部と尾根部において自動開閉チャンバーによる土壌呼吸量のモニタリング観測を行ない,地形による影響を定量的に評価した。土壌呼吸量は,夏には沢底部の方が,冬には尾根部の方が多かった。夏には尾根部の土壌が乾燥し,冬には尾根部の地温が高かったためであった。沢底部と尾根部における年間土壌呼吸量は,約6.2 tC ha-1 year-1とほぼ同じであった。しかし沢底部に比べて,尾根部の方が高かった地温による土壌呼吸促進量0.68 tC ha-1 year-1と土壌の乾燥による抑制量0.62 tC ha-1 year-1がほぼ相殺された結果であった。