農業気象
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一定湿度条件下で重力が測定原理の異なる湿度センサの出力におよぼす影響
谷 晃北宅 善昭後藤 英司齋藤 高弘高橋 秀幸
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2000 年 56 巻 3 号 p. 209-215

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抄録

微小重力場植物実験装置のための湿度センサを選別するため, 一定湿度下で測定原理の異なる湿度センサの出力に及ぼす重力の影響を調べた。異なる重力は航空機を放物線状に飛行させることで実現した。その際, 内部の気温と気圧はほぼ一定に維持した (変動幅は, それぞれ0.6kPaおよび0.2℃以内であった)。重力は1Gから2G (30秒), 0.01~0.02Gの低重力 (20秒), 1.5G(30秒), 1Gと変化した。4つの高分子センサ, 1つのサーミスタセンサ, 1つの電解質センサを実験に用いた。相対湿度が58%と75%の湿り空気を, それぞれNaClとNaBrの飽和塩溶液を吸収させた高分子ポリマーを用いて容器内で実現した。6つのセンサを容積1Lの1つの容器内にすべて固定する場合と1つずつ容積10mLの容器内に個別に固定する場合で実験し, 実験中のセンサ出力を記録した。実験の結果, サーミスタセンサの出力のみ, 両湿度条件下で重力とともに変化し, 低重力下で最大, 2G下で最小であった。この変動は, 容器内空気の攪拌の有無によらず認められた。これは, 風速の影響を打ち消すための, センサ表面を保護しているフィルターによるためかもしれない。両方の気流攪拌条件下でフィルター内の気流拡散は, その強度が重力の強度によって影響される自然対流に支配されていたと考えられる。航空機内の気圧調整システムを作動する前には, このセンサ出力は圧力の影響を受けたが, このことは気圧がほぼ一定に維持されたパラボリックフライト中のセンサ出力の変化の原因とは考えられない。各センサを個別に容器内に固定した場合もサーミスタセンサの出力にのみ同様の変動傾向が認められ, 1つの容器内に全センサを固定した本実験での, センサ同士の相互影響については無視できると考えられる。以上のように, 重力変動に伴う気流拡散状態の変化が, サーミスタセンサの出力が重力に影響された原因と考えられた。

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