農業気象
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霜害の可能性 (豫報)
鈴木 清太郎吉田 美夫荒井 哲男
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1951 年 7 巻 1 号 p. 17-18

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抄録

水蒸氣が露或は霜となるとき, 莫大の潜熱を放出する。若しこの物理學上の結果が周圍條件の室内と違う大氣中にも當てはまると假定すると, 霜は寧ろ有益で, 農家にとつて歡迎すべき現象である。
田澤・荒井の2氏は樺太の野外に於いて南瓜葉の冷却曲線を得て, 結霜の場合はその冷却率は緩慢となるを指摘した。
然し此の種の實驗では, 同一冷却状態に於て甲葉は結霜し, 隣接の乙葉は無霜となる裝置を考案せねば, その眞相を把んだとは言えないであろう。
こゝでは豫備實驗として室内實驗を行つた。冷却法は氷と食鹽の寒劑をブリキ箱に入れてその底に葉を2枚はりつけたのである。A葉は硝子のシヤーレを以つて被い中に水を少量入れ, B葉も同樣硝子のシヤーレで被うが中は無水にするか或は吸濕物質を入れて, 乾燥するようにした。かくしてシヤーレを冷却すると, Bには霜が出來ず, Aには霜が出來る。Fig. 1は菜種の若葉について行つた實驗で, A葉は霜が出來たが, 被害少なく, B葉は結霜せずして被害が多い。又品種によつて被害程度が違う。
次ぎに冷却曲線の研究は最初に硝子板について行つた。これは熱電對の1接點をA内の板に, 他の接點をB内に入れて, 起電力を自記するのであるから, かようにして得た冷却曲線は2硝子板の温度差である (Fig. 2)。
Fig. 2によればある冷却點に達すると, 曲線は急に飛躍している。これはA内の硝子板上に出來た結露が過冷却の状態から, 潜熱を發して急に氷結したからである。
Fig. 2は前者と違い, 霜の出來るA内に置いた甘藷の若葉上の絶對冷却曲線である。此の曲線の形は硝子板の場合と趣を可なり異にしている。次第に露が霜に變じているらしくもあるが, 又過冷却から潜熱を急に放つて氷結したようなところもある。
これは事によると葉上の露と葉中の液汁とが僅かの時間を徑て次ぎ次ぎに結晶したのがも知れない。

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