抄録
目的: HIV感染からその自覚までの時間的遅れ, 自覚から医療施設の受診までの時間的遅れ, および, AIDS患者におけるAIDS発病前のHIV検査受診状況を検討した.
対象および方法: エイズ拠点病院の4医療施設を, 2002年11月-2003年4月に受診したHIV感染者・AIDS患者を対象として, 無記名自記式質問票による調査を実施した. 質問内容はHIV感染時点, 感染自覚時点, 医療施設の受診時点, および, AIDS患者では発病前のHIV検査の受診状況などであった. 解析には170人のデータを用いた.
結果: HIV感染時期と自覚時期の両方の回答者66人において, HIV感染から自覚までの遅れは1-2年が21%, 3年以上が17%であった. HIV感染自覚時期と医療施設受診時期の両方の回答者163人において, HIV感染の自覚から医療施設の受診までの時間的遅れは1か月未満が69%, 1年以上が2%であった. AIDS発病者34人において, AIDS発病前のHIV検査は受診が24%, 未受診が76%であり, 未受診理由は「HIV感染を思いもしなかった」が多かった.
結論: HIV感染から自覚までの遅れがかなり長く, 自覚から医療施設の受診までの遅れは比較的短いことが示唆された. さらに研究を進めることが重要であろう.