抄録
本稿ではコンピュータグラフィクスにおける非写実的画像合成法のひとつとして,物理モデルに基づく仮想銅版画の一手法を提案する.特に,切削時に生じる版面のまくれと,まくれに残るインクによる描線のにじみが特徴的なドライポイントと呼ばれる製版技法に注目する.提案手法は実際の銅版画の制作工程に倣い4つの工程から構成され,対話操作により銅版画画像を生成する.各工程は実際の銅版画の制作工程における物理現象に基づいているため,生成される画像は物理的な意義を持ち,また外観上も良好な結果を与えている.本稿では,実際の銅版画作品を用いた比較実験を行い提案手法の有効性を示す.