主催: 画像電子学会
共催: 大阪工業大学, 社団法人 情報処理学会
この論文では,熱力学・流体力学に基づいて氷解現象のアニメーションを生成する手法を提案する.提案手法は,熱伝導・対流熱伝達・熱輻射を考慮し,融解後の液体の挙動も計算する.対流熱伝達を考慮する場合,融解する氷(固体) と融解後の水(液体) だけでなく,周囲の空気(気体) の振る舞いも考慮しなくてはならず,この気液固三相を流体力学で計算することは非常に難しい問題である.我々は,VOF(Volume-of-Fluid) と呼ばれる単純なカラー関数を液体自由曲面追跡に用い,RCIP(Rational-Constrained Interpolation Profile) 法と改良した界面数値拡散の制御手法(STAA法) を用いることで,レンダリング時の液体表面のエイリアスの問題を解決する.また、気液固の三相を同じ計算空間内でシミュレーションし,各相間の質量の変化量を明示的に扱える簡潔でわかりやすい相変化シミュレーション法を提案する.さらに,熱輻射現象は,フォトンマッピング法を用いて効率的に計算し,レーザによる融解現象などもアニメーション化する.