主催: 画像電子学会
共催: 大阪工業大学, 社団法人 情報処理学会
コンピュータグラフィックスを用いて3 次元物体をディスプレイ上に表現する場合,一般的にピンホールカメラモデルに基づく透視投影が用いられる.一方で,人の手によって描かれるイラストや絵画の多くは,人の知覚の影響を受け,透視投影を歪め部分的に誇張した投影となる.このような投影は非透視投影と呼ばれ,複数の視点から得られる投影図を滑らかに一枚の投影図に合成するモデルとして研究がなされてきている.しかし,既存の手法では,3Dシーン内のオブジェクトの構図的な関係によって生じる不自然な歪みを制限する機構がないため,試行錯誤が必要となってしまう.そこで,本論文では,描画対象のシーンの構図から,非透視投影の歪みを全体として不自然にならないよう自動的に制御する新しい手法を提案する.まず,非透視投影図におけるオブジェクトの歪みの許容範囲の,線遠近法手がかりとオブジェクトの位置関係に対する法則性を,心理学実験を通して明らかにする.さらにその結果を,非透視投影を設計する際の制約として用いることで,不自然な歪みを知覚しない範囲に変形を保ちながら非透視投影図を設計する手法を提案する.